里芋

「今は最後の草刈りの季節だから、日の出は真東よりもちょっと南へ動いています」

 

就農してからシータの言っている意味がようやくわかりました。

つまりは秋ってことなんですね。

それまではただの台詞に聞こえてただけだったのに。

カレンダー眺めるよりも畑に居る方が季節を感じるようになりました。

太陽、気温、湿度、雨、風、虫、色。

 

「土に根をおろし、風と共に生きよう。

 種と共に冬を越え、鳥と共に春を歌おう」

 

この言葉も就農してからはより心に響きます。

本当このまんま、農業って。

 

シータは飛行石と秘密の名前を代々受け継いできましたが、うちにも代々受け継いできたものがあります。

 

それは、里芋。

 

90歳になる祖母が二十歳の時に嫁いできてからは一度も種芋を買っていないと証言していますので、

少なくとも70年間は同じ品種の芋を繋いできたことになります。

その前を証言できる者が居ないので定かではありませんが、100年とかそれ以上前から引き継いでいる可能性もあります。

 

里芋は秋に収穫した芋の中から、よく年の種芋をとります。

それを冬の間の寒さに絶対当てないよう、深い穴を掘って芋を入れ、籾殻やゴザ、時にはトタンなんかを被せて守ります。

霜の心配がなくなった晩春に穴から取り出し畑に植え付けます。

そんなサイクルを少なくとも70年。

 

私は里芋といえば自宅で採れたこの芋だったので、これ以外をほとんど食べたことがありません。

普通に美味しいと思ってこれまで生きてきました。

 

11日のオープンデイに出しますので70年繋いできた味をお試しください。

畑から掘り上げた時はこんな感じ。

どことなくラピュタ...

バルス!